国際サッカー連盟(FIFA)は7日、2016年の決算を発表した。2015年に起きた放映権契約での汚職問題の法的費用などを含めて、2016年は約3億6900万ドル(約410億円)の赤字を計上し、英公共放送「BBC」の報道によると2017年には4億ユーロ(約548億円)にも及ぶ模様だと報じている。
FIFAは、2015年に約137億円の赤字額がさらに増え、2016年は約410億円の赤字。さらに2017年には約540億円の赤字を見込んでいる。とはいえ、ロシアW杯が開催される2018年に約1200億円という巨額な黒字を見込み、2014年から2018年でのトータルでは110億円の黒字になる見込みだそう。
赤字の要因として、FIFAがあげている理由は3つ。
- 世界経済の停滞
- 汚職問題による前FIFA職員の訴訟費用
- 各国や各大陸へのサッカー浸透のための投資
汚職による支出は、FIFAが要因によるものでスポンサーからも批判を浴び、VISAやコカ・コーラがFIFAのスポンサーから撤退するのではないかという報道も出てたものの、今もスポンサーを継続しています。撤退しなかったとは言え、力関係がFIFAとスポンサーで変化しているかもしれません。
[フットボールチャンネル] FIFA汚職事件、スポンサーに波紋。VISA、コカ・コーラが不安視(2015/5/28)
FIFAの年間予算はどのくらい?
そもそも、FIFAの年間の予算はどのくらいの規模なのでしょうか?実は、W杯のない年とW杯のある年では、収入も支出もその規模が全く異ります。
2015年から2017年までのW杯のない年の収入は550万ドル(約605億円)程度。ところが、ロシアW杯のある、2018年の予算規模は3996万ドル(約4395億円)となり4倍近くになります。
一方で支出は、上記の通り2015年以降赤字となっており、2015年〜2017年までは661万ドル〜1103万ドルと収入を上回りますが。W杯の2018年は2899万ドル(約3189億円)を見積もり、2018年だけで1,097万ドル(1206億円)の黒字を見込んでいます。
FIFAの収支を表した図
※画像はFIFAのレポートより。単位は100万ドル。2011年〜2014年で4億3700万ドルの黒字が出ていたが、2015年に117万ドルの赤字、2016年に3億9100万ドルの赤字、2017年に4億8900万ドルの赤字、2018年に10億9700万ドルの黒字予定が示されている。図内は税引き前のため上の記事内の数値と若干異なる。
収入の大半はTV放映権料とスポンサー料
FIFAの詳しい収入源を見てみましょう。FIFAのレポートの元に作成しました。
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 合計 | |
TV放映権料 | 284 億円 | 106 億円 | 230 億円 | 2681 億円 | 3300 億円 |
スポンサー | 173 億円 | 127 億円 | 287 億円 | 1009 億円 | 1595 億円 |
ライセンス料 | 56 億円 | 224 億円 | 53 億円 | 66 億円 | 399 億円 |
開催権・チケット販売費 | 0 | 0 | 50 億円 | 583 億円 | 633 億円 |
その他 | 86 億円 | 96 億円 | 56 億円 | 57 億円 | 295 億円 |
合計 | 598 億円 | 552 億円 | 675 億円 | 4396 億円 | 6222 億円 |
※1ドル=110円で計算
表の通り、FIFA主催の試合の放映権料が毎年約100億円〜284億円程度となり、次いで多いのがマーケティング(スポンサー料)が約127億円〜287億円となっています。
ちなみに、契約中のライセンス契約を再評価し、既に支払われたロイヤルティが実際に使用された状況で支払われるべき額より下回っていた場合に追加徴収したため、2016年にライセンス契約料が増えています。
支出で目立つのは未来への投資
Development & Education(発展と普及)の項目が2015年の約205億から約471億円と倍以上になっている。2016年からFIFAフォワードプログラムというものを開始し、10年間で4400億円を各加盟国にサッカーの発展のための資金として配分し、サッカー競技場や女子サッカーの普及に力を入れている。
FIFAの支出内訳を2015年と2016年で比較した図
より詳細に見たい方は、英語のみですがFIFAのFINANCIAL REPORT 2016を読んでください。